摂津国八十八所巡礼

お寺について

　当寺は、明治22年ごろ高野山大乗院の別院として、神戸市神戸区（現在の中央区）加納町4丁目2番地に真言宗の教えを広める目的をもって創建された。
　これに先立つこと、約18年の明治3年、それまで氾濫をくりかえしていた生田川が、洪水防止のためにそれより東方の新生田川につけかえられた。これにともない、布引から小野浜にいたるまでの旧生田川の河川敷が約18m幅の南北の道路となり、これに東西に交わる5本の道路、そして40,000余坪に及ぶ市街地も完成した。この道は、現在はフラワー道路と呼ばれ、三宮のメインストリートとなっている。この工事ののち、三宮は神戸東部の中心として発展しつつあり、この地に布教を考えて建てられたのが当寺なのである。
　しかし、昭和20年6月5日の神戸大空襲にのさい、堂宇すべてを焼失してしまった。そののち、昭和24年になって、第八世住職 亮禪和尚の手によって、創建の地よりすこし東北に移り、現在の地に復興された。
　ご本尊の弘法大師像は幸い焼失をまぬがれ、いまはお厨子の中におまつりされている。作られた年代はよくわからないものの、等身大の乾漆像で、脇仏に不動明王・愛染明王像がおまつりされている。また、境内には修行大師・稚児大師像がまつられ、ご入定姿の本尊とあわせて三体のお大師さまのお寺として親しまれている。